日本企業が海外で市場開発を行う際に、留意しておくべき、マーケティングのポイントを解説します。マーケティングの手法はそれぞれの企業の業種業態、そしてターゲットとする顧客(ペルソナ)によって、大きく異なり、入口を間違えると投資したものがほとんど意味のないものになってしまう可能性があります。そうならないために、的確なマーケティング戦略を選択し、実践することが必要です。日本から赴任してきた企業の駐在員の方、これから海外で新規事業開発や販路開拓を行おうとされている方には、ぜひ、留意していただきたい内容です。
「BtoC」と「BtoB」によるマーケティングの違い
まずビジネスを展開するにあたり、そのビジネスが一般消費者を顧客とするのか(BtoC=Business to Consumer)、もしくは企業を顧客とするのか?(BtoB=Business to Business)を定義する必要があります。
BtoCのターゲット顧客(ペルソナ)
「C」つまり、Consumer:一般顧客をターゲットとしている業種業態は、不特定多数のより多くの人にリーチするようなマーケティング手法が必要です。この業種業態は、レストラン、小売店など地域に密着したビジネス、または、インターネットで一般大衆向けに消費財を販売するようなビジネスが該当します。
BtoBのターゲット顧客(ペルソナ)
「B」つまり、Business:企業を顧客ターゲットとする業種は、提供する製品、サービスを探している人に効率よくリーチするようなマーケティング手法が必要です。例えば、プラスチックを成型する金型を製造する会社の場合、その会社の顧客は、金型を使ってプラスチック製品を製造しているメーカーなど限定的な顧客となります。このようにBtoBの顧客は、特定の分野の限定された顧客であるという特性があります。
Push型広告とPull型広告とは?
ところで、広告は、大きく二つに分けられます。Push型とPull型です。
Push型広告は、発信者から一方的に顧客に向けて発信される広告を言います。具体的には、テレビや新聞、フリーペーパー、新聞の折り込みチラシなどがあげられます。Push型広告は、より多くの人にリーチすることを得意とし、ブランディングなど自社の「認知」を幅広く広げたい場合に役立ちます。
一方、Pull型広告は、顧客の興味を引き出し、そこに情報を提供する形で行われる広告です。例えば、新聞や雑誌の記事広告など記事を読んで興味を持った人からの問い合わせを期待するやり方です。また、検索エンジンからのウェブサイトへの流入もPull型広告に該当します。例えば、検索の最大手Googleでは、世界中で一日に56億回もの検索が行われており、その検索用語は、ほぼすべて、何かを情報を探している質問です。その質問に対し、ウェブサイトなどで自社の情報を的確に伝えることができれば、新規リードにつなげることができます。
このように新規事業開発を行う上で、どの広告に投資をするか?という選択は、投資対効果を最大化させるうえで、最も重要な検討課題といえるでしょう。
BtoC、BtoBのデジタルマーケティングにおけるベストプラクティス
BtoC、BtoB、それぞれのビジネスでは、Push型、Pull型のどのような広告を使えば効果的でしょうか?事例を挙げながら、具体的に説明をしていきたいと思います。
BtoCのベストプラクティス
テレビ・ラジオCM
既存のテレビ・ラジオのCMは、幅広く自社製品を伝播することができ、BtoCにおける認知・ブランディングを行う際に非常に有効です。ただし、自社製品の需要を持っている視聴者のセグメント(性別や年齢など)を注意深く選択する必要があります。例えば、男性の視聴が多い番組の広告に化粧品のCMを流してもあまり意味がありません。ですから、化粧品のブランディングを行う場合には、ターゲットである女性視聴者が多い番組なのかどうかなどを慎重に見極める必要があります。
フリーペーパー
アメリカなど海外では日系企業が運営するフリーペーパーなどをよく見かけます。こちらも、幅広く認知を広げるという意味において、BtoCには有効ですが、発行部数や過去の問い合わせ実績などを注意深く調査し、広告の有効性をシミュレーションする必要があります。
SNS広告
FacebookやInstagram、Tiktokには、ユーザーのフィードに有料でPush型広告を掲載できるサービスがあります。この場合、リーチしたい顧客のセグメント(地域、世代)を選択できるため、自社製品を伝えたい顧客層に幅広く情報を認知させることができるので、BtoCには非常に有効な手段です。また、BtoBでもターゲット顧客を選択できるという点において、有効な手段といえます。
ディスプレイ広告
Googleなどが提供しているサービスで、ウェブサイトの広告枠に宣伝を掲載する広告手法があります。これを一般にディスプレイ広告といいます。ディスプレイ広告には、リターゲティング、つまり、検索サービスと連動して、より興味を持っている人に広告を表示するという機能があるため、ニーズを持った人からの問い合わせ(Conversion Rate=CVR)を期待することができます。
ショートムービー + インフルエンサー
昨今、TiktokやInstagram、Youtubeを中心にショートムービーが急速にシェアを伸ばしており、ブランドを広げたり、製品を紹介するなどの新しい手法として注目されています。
ショートムービーでの広告に取り組む際、強力なメッセージ伝達力を持っているのが、インフルエンサーと呼ばれる人たちです。インフルエンサーは、それぞれの分野で多くのフォロワーを獲得し、自分のフォロワーに向けて日々情報を発信し続けています。このようなインフルエンサーに自社製品やサービス、店舗などを紹介するショートムービーを作成して取り上げてもらうことで、ターゲットとしたい顧客に効率よく認知を促すことが可能となります。インフルエンサーに広告を依頼する際は、そのインフルエンサーのフォロワー数、得意な分野などをチェックすると広告効果を上げることができます。
BtoBのベストプラクティス
リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンの広告枠に自社ウェブサイトを検索結果として表示させ。自社ウェブサイトへの流入を獲得する手法です。Googleなどの検索サービスでは、通常の検索(オーガニック検索という。下記参照)の上位に検索結果が表示されるので、より露出度を高めることができます。リスティング広告では、クリックされるたびに課金が行われ、投資する金額が大きければ大きいほど、広告枠の上位に表示させることができます。
自然(オーガニック)検索+コンテンツマーケティング
ウェブサイトに役立つ情報を掲載し、そのページを検索エンジンの無料検索結果枠に表示させ、潜在顧客などのユーザーの興味を引くことで、自社ウェブサイトへの流入を促し、問い合わせにつなげる手法が、最近、注目を集めています。この手法を一般的にコンテンツマーケティングといいます。基本的に費用は掛かりませんが、ウェブサイトが検索エンジンにきちんと理解され、インデックス化されていないと検索結果の上位に表示されないので、Googleなどの検索エンジンが公開するガイドラインに則ってウェブサイトを製作する必要があります。この一連の取り組みをSEO(Search Engine Optimization)といいます。様々な検索語で、一度、検索の上位に表示されると、より関連性が高くすぐれたウェブページが新たに表れない限り、長期にわたり上位ランクを維持できるので、SEO対策を行うことは、デジタルマーケティングを成功させるためには必須のタスクといえます。ただし、定期的にウェブサイト内の検索キーワードの検索ランキングをチェックしていないと、知らぬ間に枠外に下がってしまうということもあるので、定期的なチェックをしておく必要があります。
まとめ
この他にも様々なデジタルマーケティングの手法が存在しますが、今回は、代表的なものをいくつか取り上げさせていただきました。今回、取り上げた手法は、すべて、対処方法が異なり、それを実行するためには、それぞれ専門的なアプローチが必要です。そのため、各企業様のマーケティングのベストプラクティスは、それぞれ異なるということ、そして、投資すべき広告分野をよく考慮して広告投資のROIを最大化させるように戦略を練ることが非常に重要になります。
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