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日本国内では、最近の急激な円安により、原材料費の高騰や輸入品の価格上昇といったインフレによる物価高が深刻な問題となっています。日本の外食産業を見ますと、多くの経営者の方が原材料費の高騰に悩まれている姿を報道などで見ますが、しかし、安易にメニュー価格を上げると顧客離れが起きないか?という心配もあり、なかなか値上げに踏み切れないというジレンマを感じていらっしゃるレストランオーナーの方も多いのではないでしょうか?
しかし、これを逆手に考えてみてはいかがでしょう?つまり、米国で飲食店ビジネスを展開し、高いドルで収益を確保できれば、利益率の高いビジネスにすることができるのではないでしょうか?
アメリカでは、日本に比べて顧客一人当たりの外食単価が高い傾向にあります。例えば、日本でラーメン一杯が1000円だと高いと感じますが、アメリカでは通常15ドル~20ドル($1=150円で2250円~3000円)です。(参考情報:Hanacell)さらに、日本食はローカルのメキシカンフードなどと比べて少し高級なイメージがあり、メニュー単価を高く設定できることから、おいしい料理を継続して提供できれば、非常に利益率の高いビジネスに成長させることが可能です。
加えて、昨今の円安の影響で高品質な日本の食材を低価格で入手できるため、コストを抑えつつ高い利益率を確保することも可能です。つまり、現在は米国で飲食店を始める絶好のチャンスと言えるでしょう。
徹底した市場調査が必要
アメリカでレストランを開業する地域を決める前に、潜在的な市場を徹底的に調査することが重要です。人口統計、地域文化、競合他社の分析を行い、ターゲットとなる顧客層のニーズと好みを細かく理解することで、ビジネスの成功確率が高まります。
例えば、ラーメン専門店を開業する場合を考えてみましょう。既に人気のラーメン店が複数存在する都市もあれば、全くラーメン店がない、もしくはおいしいラーメン店が存在しない地方都市もまだ多数あります。
まずは、提供するメニューを決定し、その上で、選んだ地域で自分が提供しようとしている料理の需要が、既にあるのか、それとも新たに食文化を形成する必要があるのかを考える必要があります。そのために、まずは、現地の既存店を調査し、そこに住んでいる人の意見を聞きながら綿密に調査を進めることが重要です。
現地不動産業者を活用する
市場調査を実施する際に重要な役割を果たすのが、現地の不動産業者です。米国では、各都市に数多くの商業物件向けを紹介している不動産業者が日々、活動しています。日本語を話す日系人や日本人の不動産業者も多く存在しますので、彼らとのコンタクトを取ることで、それぞれの都市や地域の特性を理解、さらに魅力的な空き物件を見つけることができます。これにより、アメリカで飲食店を始める第一歩を踏み出すことができるでしょう。
各都市の不動産エージェントリスト
- ニューヨーク:ナミ・ニューヨーク不動産
- サンフランシスコ:竹村不動産
- ロサンジェルス:桑田不動産
- シアトル:シアトル不動産
- ヒューストン:ヒューストン不動産
米国でビジネスを開業するためのビザ要件
アメリカでビジネスを行うには、多くの法的制約があり、特に、外国人起業家はビザの取得が必要となる場合が多いです。E-2投資家ビザやL-1企業内転勤ビザなど、ビジネスに適したビザを選び、取得する必要があります。ビザ取得に関する手続きは、移民を専門とする弁護士に相談するとよいでしょう。移民弁護士は、ビザの取得に関する手続きの他、各種ビザの取得条件など様々な知識を持っています。
日系移民弁護士事務所
- ニューヨーク:Tigris Legal PLLC
- ロサンジェルス:野口法律事務所
- オレンジカウンティ―:滝法律事務所
- ヒューストン:木村法律事務所
飲食店開業のための許可関連
アメリカで飲食店を開業するためには、ビジネスライセンスの取得の他、様々な許可を取得する必要があります。以下に主な許可・認可事項をまとめます。
ビジネスライセンス
飲食店を運営するためには、まず地元の市役所や郡役場からビジネスライセンスを取得する必要があります。これは、ビジネスを合法的に運営するための基本的な許可です。
フードハンドラーズライセンス(食品取扱認定書)
すべての従業員は、食品を取り扱うための訓練を受け、フードハンドラーズライセンスを取得する必要があります。このライセンスは食品衛生と安全性を確保するためのものです。
ヘルスパーミット(保健所許可)
地域の保健所からヘルスパーミットを取得する必要があります。保健所は、施設が衛生基準を満たしていることを確認するために、定期的な検査を行います。
建築・設備許可
店舗の改装や新築には、建築許可と設備許可が必要です。これには、厨房の設置、換気システム、配管などが含まれます。地元の建築規制を遵守することが求められます。
営業許可(Certificate of Occupancy)
店舗が建築基準と安全規定を満たしていることを証明するために、営業許可を取得する必要があります。これは、建物が適切に使用されていることを確認するためのものです。
販売税許可
飲食物を販売するためには、州税務署から販売税許可を取得する必要があります。これにより、売上に対する適切な税金を徴収し、納付・報告することが求められます。
アルコール販売許可(必要な場合)
アルコールを提供する場合は、州の酒類管理局からアルコール販売許可を取得する必要があります。このプロセスは州によって異なり、しばしば厳格な規制が伴います。
消防許可
消防当局から消防許可を取得し、消防安全基準を満たしていることを確認する必要があります。これは避難経路や消火設備の適切な設置を保証するためです。
廃棄物管理許可
地域の廃棄物管理規定に従い、適切な廃棄物処理システムを導入し、関連する許可を取得する必要があります。
音楽・エンターテイメント許可(必要な場合)
店内で音楽やエンターテイメントを提供する場合は、地域のエンターテイメント許可が必要です。これは著作権法の遵守を含むことが多いです。
総括
これらの許可を取得する際には、コンサルタントや許可関連に詳しい建築業者を雇い、助言を求めることがトラブルを回避するために有効です。アメリカでは、専門知識を持たずに自分で申請を行うと、様々なトラブルに巻き込まれることがあります。これには、余計な費用が発生したり、最悪の場合、開業の許可が得られないといった困難が含まれます。そのため、地域に精通したコンサルタントや建築業者を採用することを強くお勧めします。彼らの専門知識を活用することで、スムーズに許可を取得し、開業時のトラブルを未然に防ぐことができます。
立地選びと物件の確保
レストランの立地は、その成功に直結します。交通の便が良く、人通りの多い場所を選ぶことが一般的ですが、賃料とのバランスも考慮に入れる必要があります。物件の確保は早めに行い、必要な改装や装飾を計画的に進めましょう。物件の選定にあたっては、先述の現地不動産業者を活用するとよいでしょう。
メニュー開発と食材調達
アメリカで日本食の食材を調達するには、日系の食品卸業者を利用します。アメリカのほとんどの主要都市では、下記にリストアップした食品卸業者が多くの日本食材を取りそろえているため、最低でも週1回は、デリバリーで食材を調達することが可能です。
また、現地の供給状況をリサーチし、可能であれば地元の食材を使ったメニュー開発を考えると、コスト削減にもつながります。そのため、地元の食品問屋もリサーチされることを強くお勧めいたします。
日系食品卸業者
- JFC International:キッコーマン系列の食品卸。全米主要都市に拠点を展開。最大手。
- Wismettac:旧西本貿易。全米主要都市に拠点あり。営業担当者の対応が良い。
- 共同貿易:全米の主要都市に拠点あり。日本酒の取り扱いが豊富
アメリカ食品卸業者
マーケティング戦略
店舗開店の準備が整ったら、オープン前に綿密なマーケティング戦略を立てることが重要です。これは、オープンまでの間にレストランの知名度を高めるために不可欠な施策です。
自社ウェブサイトの立ち上げ
まず、自社独自のドメインでウェブサイトを構築しましょう。このウェブサイトは、メニューや営業時間などの基礎情報を発信する起点となります。弊社JU Marketingでは、日本のお客様のWebsite運営を強力にサポートしております。無料コンサルティングをご提供しておりますので、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
SNSを活用したマーケティング
ウェブサイトを基盤として、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)などのSNSを活用してマーケティングを行いましょう。SNSは、ターゲット顧客に直接アプローチできる強力なツールです。開店前からフォロワーを増やし、定期的に更新を行って関心を引き続けることが重要です。特に、ビジュアルが重視されるInstagramでは、料理の写真や店内の雰囲気を魅力的に見せることがポイントです。
地元のイベントへの参加
地元のイベントに積極的に参加することで、地域社会とのつながりを深めることができます。フードフェスティバルや農産物市場などに出店し、直接顧客と交流することで、店舗への関心を高めることができます。
プレスリリースと特別プロモーション
開店初日には、プレスリリースを発行し、特別なプロモーションを行うことで大きな注目を集めることができます。地元のメディアやインフルエンサーを招待し、無料試食会や割引キャンペーンを実施するのも効果的です。
このようなマーケティング戦略を実行することで、開店前からレストランの知名度を上げ、成功するスタートを切ることができるでしょう。
決済システムの導入:POSレジ
アメリカでは、ほとんどの支払いがクレジットカードで行われます。そのため、多機能でクレジット手数料の安いPOSレジシステムを導入することは、レストランの収益性を高めるために必要不可欠です。
JU Marketingでは、全米で多くのシェアを獲得しているClover POSシステムをリーズナブルな価格でご提供しております。Clover POSシステムは、以下の特長を持っています:
- 多機能:在庫管理、売上分析、顧客管理など、さまざまな機能を搭載。
- 使いやすさ:直感的な操作が可能で、スタッフのトレーニングも簡単です。
- 低コスト:クレジットカード手数料が安く、運営コストを削減できます。
- DoorDash、UberEats、GrubHubなどのデリバリーサービスのオーダーを一括管理でき、Cloverひとつでキッチンとの連携が可能。
POSシステムの導入を検討されている方は、弊社Cloverページをご覧ください。適切なシステムの選定と導入を通じて、ビジネスの効率化と収益性の向上を支援いたします。
詳しくは、JU Marketingまでお問い合わせください。
スタッフの採用について
アメリカで現地法人を立ち上げ、店舗進出の目処が立ったら、次のステップとして現地ビジネスに精通した従業員の採用が重要です。手続きや業務をスムーズに進めるためにも、適切な人材の選定が求められます。
理想的な候補者の条件
以下の要件を満たしている候補者を採用することが理想的です。
- 英語、日本語が話せること。
- アメリカ市民(国民)または永住者(グリーンカードホルダー)であること。
- 店舗マネジメントの経験があること。
人材会社
このような人材を効率的に見つけるには、日系のリクルーティング会社を活用するのがおすすめです。以下に、アメリカで事業展開している日系リクルート会社を紹介します。
その他の採用方法
リクルーティング会社を利用しない場合は、日系の掲示板やLinkedInを活用するのも一つの方法です。以下に、アメリカで利用可能な日系掲示板を紹介します。
経験豊富な従業員を採用することは、北米で事業を円滑に進めるための重要なステップです。特に、現地ビジネスに精通したアメリカ市民や永住者を積極的に採用することで、事業の成功に繋がるでしょう。
まとめ
このように、日本から北米にレストランを開業する際には、様々なタスクと乗り越えなければならない壁があります。しかし、今後の経済事情を考慮すると、北米でビジネスを立ち上げることは将来の投資として非常に価値があり、多くの潜在的なチャンスが存在します。
今回は、アメリカでレストランを開業するための施策を簡単にご紹介しましたが、JU Marketingでは無料コンサルティングを通じてさらに詳しい情報をご提供しております。ご興味のある方は、ぜひ弊社の無料コンサルティングにお申し込みください。