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Googleは、質の高い検索結果をすべてのユーザーに提供するために、年に数回、検索エンジンのアルゴリズムを変更します。これをコアアップデートと呼び、それにより、検索結果の順位が大幅に変動することがあります。もし、このコアアップデートで、皆さんのウェブサイトがGoogleから低い評価を受けると、ウェブサイトの最も大きな流入元であるGoogle検索結果からのトラフィックが減り、場合によっては、皆さんのビジネスに多大なる悪影響を及ぼす可能性があります。
2022/8/25、Googleは、検索エンジンのアルゴリズムの最新アップデート情報を公開しました。Googleは、このアップデートを2022/9/12から開始するとTwitter上で発表し、SEMRUSH社のSERP Volatility Sensorによると、主に米国の英語ウェブサイトにおいて2022/9/8と9/13に大幅な順位変動があったことが確認されています。今回アップデートは、かなり大規模であることが想定されますので、本記事では2022年9月Googleコアアップデートを紐解き、「何がこれまでと変わるのか?」をGoogleが公表している情報をもとにご説明していこうと思います。特に、今回のコアアップデートにより、米国の英語ウェブサイトの検索順位の変動が著しいことから、英語ウェブサイトを運営している方々は必見です。
Today we released the September 2022 core update. We'll update our ranking release history page when the rollout is complete: https://t.co/sQ5COfdNcb
— Google Search Central (@googlesearchc) September 12, 2022
2022年8月のGoogleコアアップデート発表内容
Googleは、2022年8月25日にコアアップデートの内容を発表し、2022年9月にローンチするコアアップデートを「helpful content update=お役立ち情報アップデート」と名付けました。内容は、「実際の人が、人のために書いたオリジナルのお役立ち情報を、Google検索結果で多くの人に届けられるようにするための幅広い取り組み」と説明し、読んだ人が満足のいく体験をしたと感じるコンテンツがより高く評価され、読者の期待に応えられないコンテンツは、検索順位が下がると説明しています。
Googleは、このアップデートに対応するためのコンテンツ制作についても言及しており、端的に言うと「検索エンジンのためではなく、人々のためにコンテンツを作成することが大切」と説明しています。Googleは、これを「People-First Content」と呼び、AIやコンピュータによる自動生成されたコンテンツではなく、人が実際に書いたコンテンツを評価すると明言しています。
「People-First Content=人を優先したコンテンツ」とは何か?
「People-First Content」とはどのようなもので、このアップデートをクリアするためのコンテンツ作成は、どうすればよいのでしょうか?検索エンジンのためではなく、人々のためにコンテンツを作成するという今回のGoogleのコアアップデートの内容を本記事では具体的に掘り下げていきたいと思います。(出典:What creators should know about Google’s helpful content update )
今回のコアアップデートによる自社ウェブサイトの影響チェックリスト
Googleの発表によると、既存のコンテンツおよび今後コンテンツ発信するコンテンツは、以下の条件を満たしている必要があるとのことです。
- ウェブサイトの既存ユーザー、またはこれから訪問してくる人にとって、役に立つコンテンツが記載されているか?
- ウェブページに記載されたコンテンツは、直接の専門性と高い知見があるか?(例:実際に製品やサービスを使用した感想、訪れた場所の専門知識など)
- ウェブサイトの目的や焦点が明確であるか?
- コンテンツを読んだ人は、自分の目的を達成するために、そのトピックについて十分な知識を得られたと感じているか?
- コンテンツを読んだ人は、満足のいくユーザーエキスペリエンスが得られたと感じられるか?
- Googleウェブマスターガイドラインに基づいて、コアアップデートと製品レビューのガイダンスに留意しているか?
このようにGoogleは、コンテンツを読む人、つまりウェブサイトの訪問者が、知りたい欲求を満たし、そのうえで、その使用レビューや感想などを、AIなどの機械ではなく、人間の目線で作成されているコンテンツを評価すると言及しています。
検索エンジンの評価目的でコンテンツを作成しない
Googleは、検索エンジンでよい評価を得るためだけにコンテンツを作成する活動は避けたほうが良いと説明しています。ただし、これは、弊社のコンサルティングでもご案内しているSEO内部施策や外部施策などのGoogleウェブマスターガイドラインに記載されている各種SEO対策を否定しているものではありません。飽くまで、検索エンジンの表示結果、およびトラフィック増加を目的としたコンテンツ作成を避けたほうが良いという意味です。Googleは、こうした検索エンジンだけを意識したコンテンツは、検索した人が結果的に満足できなかったケースが多いと認識しているようで、People-First Content、つまり人間の目線でのコンテンツを作成することが何よりも重要であると言及しています。ですから、弊社がこれまでご案内してきたコンテンツマーケティングを含めたSEO対策は、有効な検索エンジンからの流入を増やす手法であることは、変わりありません。
コアアップデートを意識したコンテンツ作成の注意点
この方針に基づき、Googleは、作成するコンテンツに問題があるかどうか?について、チェックリストを今回のコアアップデートに合わせて公表しています。
今回のコアアップデートによる自社ウェブサイトの影響調査チェックリスト
- 作成されたコンテンツは、検索エンジンから人々を引きつけるために作成されたものではなく、実際の人の目線で書かれているものかどうか?
- 検索結果で上位に表示されることを期待して、さまざまなトピックのコンテンツを大量に作成していないか?
- 多くのトピックについてコンテンツを自動で作成していないか?
- コンテンツの情報は、他のウェブサイトの単なる流用のみで、独自の情報やオリジナルの価値がきちんと付加されているか?
- 単にトレンドになりそうだからという理由だけでコンテンツを作成していないか?
- 記載されたコンテンツ情報が不十分で、完璧な情報を探すために、さらなる検索を行わないといけないようなコンテンツになっていないか?
- Googleがウェブページ評価において、好ましい単語数があると認識し、特定の単語数を意識してコンテンツを作成していないか?(Googleは、好ましい単語数などを設定していない。)
- 検索トラフィックを獲得するために、ニッチな話題のキーワードをあえて記載して、トラフィックを稼ぐようにコンテンツを作っていないか?
- 不確実な情報を安易に発信していないか?例えば、製品、映画、テレビ番組のリリース日が確定していないのに、その日にちを示唆するなど、実際には答えのない質問に不確定の情報を答えるようなコンテンツになっていないか?
この内容を見ると、今までSEO対策でGoogle検索のパフォーマンスを最大化させるための常識であった2000文字くらいの情報量が好ましいという根拠のない常識をGoogleは完全に否定していることから、飽くまで、Googleのウェブマスターガイドラインに立ち返りコンテンツ発信をしていく必要がありそうです。また、現在、発信している既存の自社ウェブサイトのコンテンツも全体的に見直す必要があるかもしれません。弊社としても、今回、Googleが指摘している箇所を注意深く観察し、お客様に最新の正しい情報をお伝えするべく調査をしていく予定です。
今後のGoogle検索の方向性
今回のアップデートは、多くの既存ウェブサイトが影響を受ける可能性があります。Googleは、価値の低いコンテンツや検索時に役立たないコンテンツを自動的に判別し、役に立たないコンテンツが全体的に多いと判断されたウェブサイトは、そのウェブサイト全体の検索順位を下げる方針であると説明しています。そのため、検索結果で上位表示を狙うためには、役に立たないと思われる既存のコンテンツを削除するなどの対策が必要となってきます
役に立たないウェブサイトと分類されるとどうなるか?
Googleは、今回のアップデートで新たなシグナルを追加し、役に立たない情報が多いウェブサイトを分類(Classify)すると説明しています。そして、そのシグナルが一度付くと、数カ月にわたって継続し、そのウェブサイト全体の検索パフォーマンスが下がると説明しています。この分類は、現在、すでに稼働しているスパムを除外するアルゴリズムとは全く別であり、さらに人の手を解すこともなく、すべて、Machine-Learning=機械学習によって自動化されているとのことです。ただし、役に立たない情報を削除し、People-First Contentに合致するコンテンツ作りに注力すれば、いずれ、シグナルが外れ、検索のパフォーマンスも戻ってくると説明しています。
言語別のコアアップデートについて
このアップデートは、まず、英語の検索で主に実施され、その後、他の言語にも順次、適用になるとのことです。冒頭でご説明したSEMRUSH Sensorによると、すでに2022/9/14時点で、日本語でもおおきな順位変動が起こっているようです。いずれにしましても、英語ウェブサイトを運営している企業は、今回のコアアップデートの結果、自社ウェブサイトにどのような影響が出ているか?を注視しておく必要があります。
まとめ
弊社の見解ですが、今回のGoogleコアアップデートは、2016年に行われた「ペンギンアップデート:大量の不正外部リンク獲得によって検索順位上位を狙うチート活動を規制」と同じくらいのインパクトがありそうです。このペンギンアップデートを受け、その後、外部被リンクを購入して検索順位を上げる行為を行っていた多くの企業のウェブサイトの検索順位が著しく低下し、業績悪化を余儀なくされた企業が多数発生したという苦い過去があります。
今回のアップデートのポイントは、外部ウェブサイトのコピー&ペーストではなく、さらに、AIなどの機械で作成したものではない「人がゼロから執筆したコンテンツ」を作成することが重要だということです。米国では、コピー&ペーストされた文献をPlagiarism(プレジャリズム=盗作)と呼び、これを厳しく規制しています。特に学術論文では、自分の言葉で表現しない文章、つまりコピー&ペーストで書かれた文章は認められておらず、このコピペが何パーセント文献内に存在するかをチェックするツールも存在します。(例:plagiarismdetector)プレジャリズムを避けるためには、執筆者が、日々の活動で得られる専門知識などをユーザーに分かりやすく説明できるコンテンツを「自ら」執筆し、自分の言葉で説明する必要があります。そして、自分が執筆した「役立つコンテンツで多くの人を助けたいというGoogleが目指す目標の視点」で情報発信をすることが重要であるということだと弊社は理解しました。
ところで、日本企業の英語ウェブサイトを拝見していると、たまに「Googleが理解できる基本的なコンテンツ作り」が不完全で、せっかく、良い情報を発信しているのに、検索エンジンが内容をうまく理解できず、検索エンジン上のパフォーマンスがうまく発揮できていないウェブサイトが存在します。今回のアップデートで、こうしたウェブサイトも公平にGoogleに評価してもらえるようになればよいのですが、基本的には、今回のGoogleのコアアップデート発表で言及されている通り、Googleのウェブマスターガイドラインに「まず」準拠することが、必須の条件であることは変わりないようです。
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